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近年、IPv6への移行が徐々に進んでまいりましたが、現時点でも一般家庭や中小企業のネットワークではIPv4が主流として利用されている状況です。IP(Internet Protocol)アドレスとは、コンピュータ同士が通信を行う際の「住所」のような役割を果たすもので、家庭内・社内LANなどの内部ネットワークでは「192.168.0.5」のようなプライベートIPアドレスが、インターネットへ接続する際にはISP(インターネットサービスプロバイダ)から払い出されるグローバルIPアドレスが用いられます。いずれもIPv4の体系です。荷物に送り先住所が必要なように、ネットワーク通信にも「宛先住所」と「差出人住所」が必要となり、その役割を担うのがIPアドレスです。
IPv4は32ビット長のビット列で構成されています。32ビットということは、理論上 2の32乗(約42億9千万)個のアドレスを表現できる計算になります。ただし、ネットワークアドレス・ブロードキャストアドレス・プライベートIP・ループバック等の予約領域や、各国・各組織への配分の関係上、世界中で実際に利用可能なグローバルIPv4アドレスはおよそ4億個程度と言われております。世界の人口は約74億人を超えており、もちろん全員がインターネットを使うわけではないものの、近年は1人あたりPC・スマートフォン・タブレット・IoT機器など複数台の端末を接続することが当たり前となってまいりました。こうした背景から、IPv4のアドレス枯渇は世界規模で進行しているわけです。
IPv4は32ビットのビット列で表現され、サブネットマスクを用いることでアドレスを「ネットワーク部」と「ホスト部」に切り分けることができます。これにより「どのネットワークに属するどのホストか」を一意に表現し、適切な宛先へパケットを届けることができるようになります。
ネットワーク部のサイズによって、クラスフルアドレッシングでは大まかに3つに分類されます。
クラスA:0.0.0.0 ~ 127.255.255.255
クラスB:128.0.0.0 ~ 191.255.255.255
クラスC:192.0.0.0 ~ 223.255.255.255
「192.168.0.1」のようなIPアドレスをよく目にされるかと思いますが、これは家庭用ルーターや小規模オフィスでよく使われるクラスCのプライベートIP帯となります。クラスCはホスト部が8ビットなので 2の8乗 = 256台分のアドレスを表現できますが、そのうちネットワークアドレスとブロードキャストアドレスを除いた 256 – 2 = 254台分のIPを実機に割り当て可能です。つまりPCやネットワーク機器を200台程度までつなぐ規模であればクラスCで十分賄えるということになります。クラスBはホスト部16ビットで 2の16乗 – 2 = 65,534台、クラスAはホスト部24ビットで 2の24乗 – 2 = 16,777,214台のホスト割り当てが可能となり、クラスAになるほど大規模ネットワーク向けです。家庭や中小企業ではクラスCが標準的に使われております。
このようにクラス境界でアドレスを区切る方式を「クラスフルアドレッシング」と呼びます。一方、サブネットマスクを用いて自由にネットワーク部とホスト部の境界を引く方式を「クラスレスアドレッシング(CIDR)」と呼びます。CIDR表記では「192.168.100.XXX/28」のように、先頭から何ビットがネットワーク部かをスラッシュ以降の数値で示します。/28であれば、先頭28ビットがネットワーク部・残り4ビットがホスト部、という意味になります。
● ネットワークアドレス(例:192.168.1.0)
そのサブネット自体を表すアドレスです。実機には割り当てません。
● ブロードキャストアドレス(例:192.168.1.255)
同一サブネット内の全ホストへ一斉に通信を送る際に使用するアドレスです。生存確認のためのPINGや、ARPリクエスト、DHCP Discoverなど、ネットワーク機器の運用において広く利用されます。
● ループバックアドレス(例:127.0.0.1)
自分自身を指すアドレスです。ローカルで動作しているWebサーバーやDBサーバーへの接続確認、開発中アプリの動作検証など、自端末内のサービスのテストに使われます。
● リンクローカルアドレス(例:169.254.0.0/16)
DHCPサーバーから正常にIPが取得できなかった際に、OSが自動的に割り当てる予備アドレスです。169.254.0.0 ~ 169.254.255.255 の範囲が予約されており、DHCPが機能していない環境でも同一セグメント内であればこのIPで仮の通信が可能となります。トラブル時の切り分けポイントとしてもよく利用されます。
● ユニキャスト … 1対1の通信方式(最も基本的)
● マルチキャスト … 特定のグループに属する複数の端末へまとめて送る方式(動画配信などで利用)
● ブロードキャスト … 同一サブネット内の全ホストへ一斉に送る方式
● エニーキャスト … 同一のエニーキャストアドレスを持つ複数台のうち、ネットワーク的に最も近い1台に送る方式(CDNやDNSの冗長化などで利用)
IPv4にはこのように、用途に応じた多彩な送信方式が用意されております。
近年は通信キャリア各社がAI・IoT分野へ積極的に投資を行い、家電・自動車・産業機器までもがインターネットへ接続される時代になりました。IoT(Internet of Things)の普及により、冷蔵庫・エアコン・太陽光発電システム・防犯カメラ・各種センサーなどがすべてネットワークに接続され、スマートフォンやクラウドから遠隔操作・遠隔監視できるようになっております。これら一台一台にIPアドレスが必要となるため、IPv4の枯渇はますます加速していくのが現状です。
IPv6は128ビット長のアドレスを採用しており、表現可能なアドレス数はおよそ 2の128乗(約340澗)個と、IPv4とは比較にならない規模になります。今後、ネットワーク設計や業務システム構築においては、IPv4だけではなくIPv6の知識も必要となってまいります。
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